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セミナー(生産管理)

 一時前はISOの取得が流行っていた時期がありました。企業の運営プロセスを評価するISO9001を中心に、環境面のISO14001、各業種に合わせた認定システムなどなど。これはコンプライアンスなどという言葉がまだ浸透していない時期に、取引先企業の経営体質を担保する意味で評価されていました。昨今はまっとうな経営が企業存続の最低条件になっており、それがコンプライアンスという共通言語として浸透している中で、ISOの価値は多少なりとも薄れているように思います。

 

 最近では食品関係のHACCP、農業のGAPなど、海外の流れを汲んだ認定制度が盛んになっています。その中で、GAPに関するセミナーとして、「5S」や「生産管理」をテーマに話して欲しいというオーダーを頂きました。

 

 「5S」は少なくとも言葉だけは広く浸透していて、何となく取り組んでいる企業も多いと思います。YOUTUBEでも数多く配信されています。しかし「生産管理」となると極端に減ります。生産管理と言っても、単に「生産計画を組む事」ではなく、広義では川上の設計から、川下の輸送・納品まで広範囲にわたるのでセミナーをしてくれと言われても非常に難しいのです。それでもオーダーですので、知恵を絞って楽しめるセミナーをやってきました。

 

【眠たくないセミナー】

 セミナーで心掛けているのは「眠たくさせないこと」

私はそれほど口がうまい訳ではないので、話術で眠たくさせないのは苦労します。アイデア出しが得意なので、構成で眠気を飛ばします。

今回は生産管理を体験してもらおうということで、ワークに力を入れました。

 

<生産計画>→<材料調達>→<生産>→<出荷>

この流れを体験してもらいました。

ちなみに、生産してもらったのは野菜です。

○や□、△を書いた紙を材料に見立てて、野菜名の記載とカットを生産作業としました。

私から生産計画の担当者に注文書を渡します。

 例えば「ミディトマトを2個、2分30秒に納品してくれ」といった意味です。遅れてもNG、早くてもNG。多くても少なくてもNGです。このオーダーを満足するために、生産計画は、調達・生産・出荷の担当者に指示を与えます。常に口頭で伝えてもOK、付箋に記載してもOK。

 でも注文書は直接見せてはNGです。実際の現場でも、お客さんからの注文書を直接現場に入れることは無いですよね。もしそのような会社があれば、生産管理が出来ているとは到底言えません!

 

どれだけ正確に納品できるか?チームに分かれて競争するゲームです。

 

 2チームに分かれたのですが、いざ始まると片方は口頭、もう片方は付箋で生産指示を出していました。また、注文毎に指示を出したり、まとめ生産で指示を出したり。納期間近に出荷指示を出したり、事前に伝えたり。こちらとしてはとても期待通りのバラツキが出てくれました。

結果としては、Aチームの勝ち。

Aチーム:減点1(1つだけ多く納品)

Bチーム:減点2(納品遅れ2件)

 

万が一同点になった場合は、生産品質の差、在庫の有無で決める予定でした。

事前に、QCDの話をしていたので、Dはもちろん、Q:品質、C:コスト(在庫)にも気を遣わせます。

野菜名の文字の綺麗さ、カットの綺麗さ、納品時の荷姿など、様々な評価ポイントがあります。

 

 

【総括】

 生産管理を実際にやっていた方もいらっしゃいましたが、その方からも「面白かった」のコメントもあり、全体としては狙ったセミナーになりました。生産管理を理解してもらえたか?というと、おそらく理解はしてもらえてないと思います。そもそも、言葉で説明して理解できるほど簡単なものではありません。

 それよりも、ワークを通して生産管理に興味を持ってもらう事、楽しいと思ってもらう事、重要性を感じてもらう事、お客様の立場に立ってもらう事、が出来れば十分です。

 

 準備には相当な時間が掛かりましたが、面白いプレゼンツールが一つ増えました。