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値上げと値下げ

 ブイコンサルティングでは「キャッシュフロー経営」を強く提案しています。売り買いをしてでた利益で構成される「損益計算書」では経営改善は出来ません。なぜなら、損益計算書で計算される最終利益=キャッシュ(現金)ではないからです。

 一度冷静になって考えて欲しいのですが、経営者は利益を出すために経営している訳ではないはずです。キャッシュ(現金)を稼ぐ、増やすために経営しているはずです。その観点から考えて、キャッシュフローを意識した経営をしていないと、経営改善は出来ません。例えば「節税!」と言って、無駄な物を買わないでください。無駄な保険に入らないでください。無理に退職金を払わないでください。まっとうに納税した方がキャッシュは残ります。キャッシュが正義です。

 

値下げの悪

 経営改善をする上で「値上げは正義」「値下げは悪」だと考えています。売上高は次の式で決まります。

 

売上高 = 単価 × 販売数量

 

当たり前の事ですが、理解せずに値下げしている経営者が多いように思います。

 

<ペットボトルの飲料>

仕入価格:  100円

販売価格:  150円

販売数量:  100本/月

売上高 :15000円

利益  : 5000円

 

もっと売りたいと思って、安易に10%の値下げをしました。結果として20%の販売数量が伸びました。

仕入価格:  100円

販売価格:  135円

販売数量:  120本/月

売上高 :16200円

利益  : 4200円

 

 結果は見ての通りです。売上は伸びましたが、利益が下がりました。キャッシュとしては800円以上損しています。「値下げを知らせるPOP制作」「増えた20本分の仕入の手間、陳列の手間、レジの手間、冷蔵の電気代」「安売りする店だという顧客への意識付け」、色々と損しています。ちなみに、この例では10%の値下げをすると、販売数量を50%近く増やさないとキャッシュが増えません。

 おおかたの経営者はここまで計算せずに値下げします。

 

「安くすればたくさん売れる」

「安くしないと売れない」

「たくさん売らないと利益が出ない」

 

こんな何の根拠もない思い込みで値下げを慣行しているのです。

 

 

値上げの正義

先ほどの例で、値上げをしてみましょう。

 

<ペットボトルの飲料>

仕入価格:  100円

販売価格:  150円

販売数量:  100本/月

売上高 :15000円

利益  : 5000円

 

10%の値上げをしたら、販売数量が20%減りました。

 

仕入価格:  100円

販売価格:  165円

販売数量:   80本/月

売上高 :13200円

利益  : 5200円

 

なんと、利益が増えました。これでは面白くありませんので、このペットボトル飲料の魅力を伝えるPOPを加えて、販売量を10%ダウンに抑える努力をします。

「スカッとさわやか、オレンジの爽快感!」「暑い夏にキーンと喉を刺激」「消費期限○○まで。豪雨などの災害備蓄に」

 

仕入価格:  100円

販売価格:  165円

販売数量:   90本/月

売上高 :14850円

利益  : 5850円

 

しっかりキャッシュが増えましたね。

 

値上げのコツ

 モノやサービスの値段は、その価値で決まります。それにもかかわらず「他の会社が○○円だから」「値下げしないと売れないから」と言って、安値を付けます。物の正当な価値を無視して、安値を付けるなんて経営努力でも何でもありません。100円の価値があるものは100円で、1000円の価値があるものは1000円で売るべきなんです。むしろ、100円の価値があるものを120円で売ることに経営努力があります。

 

 値上げのコツ、それはズバリ、何も考えずに20%ほど値上げすること。大丈夫です。

もちろん心配になると思いますので、先ほどのPOPの例のように、その商品の魅力・価値などの情報を伝える努力をプラスしてください。決して、もの自体の価値を高める必要はありません。価値を高めてしまうと原価が上がり、本質的な値上げにはならず、単なる値上がりになってしまいます。

 

 うちはBtoBだからそんなに簡単じゃない!という反論も良く聞きます。その場合は、1年、2年、3年など期間を設定して対応します。

「2年後に価格を○○円にします」と言ったようにして、1年前には「1年後には価格を○○にします。宜しくお願いしますね」、半年前には「半年後には価格は○○円になりますよ?準備は大丈夫ですか」とフォローを入れていくことで、値上げに対する解決策を先方に転嫁する事が出来ます。いきなり値上げすると「そんなのは無理だ!何とかしろ!」と解決策をこちらにゆだねられてしまいます。

 

 BtoBだから、BtoCだからという事はなく、それぞれで難しさがあると思います。

特に福井県のような、富裕層が少ない、市場も小さい地方においては尚更ハードルが上がります。

ただ、昔に比べて様々な販売チャネルが生まれている中では、可能性は無限大です。

繰り返し言いますが、経営改善において「値上げは正義」です。

キャッシュに困ったら、値上げをご検討下さい。

「値上げの有効策」教えます。