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新型コロナウイルス

 新型コロナウイルスの影響が続いています。ちょっとした咳をするのにも気を遣う状況です。対応策については賛否両論がありますし、便乗の中止やキャンセルが増えているように思います。身内だけの会議、子供同士の遊びまでNGだと言われるのは正直、疑問でしかありません。単に「やめる」の判断ではなく、「どうやったら安全にできるのか」を考えぬいた末、「やめる」判断をして欲しいものです。入社・入場前の検温、消毒、マスク着用、定期検温・定期消毒などなど、できる事は沢山あります。

 

マクロで見る

 今、自社が置かれている状態を分析する際に、外部環境と内部環境の2面から分析する手法があります。

  • 外部環境:政治、経済、法律、社会、競合、貿易、相場、地域 など
  • 内部環境:ヒト、モノ、カネ、情報、組織 など

 外部環境を分析する際には、マクロとミクロの両面で見る必要があります。厳密な定義は色々ありますが、ざっくりは、マクロは「広く見る」、ミクロ「近く見る」というイメージです。今回の新型ウイルスの報道については、ミクロ(近く)ばかり取り沙汰されていて、あたかも大流行しているように感じますが、マクロ(広く)で見ると冷静になれます。つまりは世界に目を向ければ、日本が置かれている状況がよくわかります。

 

次のグラフは、中国以外の感染状況を表したデータです。

(出典:日本経済新聞 新型コロナ感染 世界マップ)

 まず、日本の新規感染者数はかなり抑えられている事が分かると思います。(若干、右肩上がりなのは気になりますが)。対して、イランやイタリアは急激に感染が拡大している事が分かります。中国から遠いという安心感がこのような結果に繋がっているのかもしれませんし、お国柄もあると思います。ただ、比較的温暖な両国で感染が広がっているのは、怖いですね。

 

次のグラフは、中国の感染状況を表したデータです。

(出典:日本経済新聞 新型コロナ感染 世界マップ)

 1月下旬から2月中旬にかけて驚異的な感染拡大を続けていましたが、3月に入ってからはかなり抑えられています。(突出しているデータは、おそらくカウントしたタイミングの問題だと予想されます)もちろん、様々な感染対策の効果が出ているのだと思いますが、終息の兆しとも捉えられます。このような情勢の中では明るい情報ですね。

 

冷静な判断、冷静な報道を

 決して楽観視している訳ではありませんが、物事は冷静に考えなければなりません。

 インフルエンザの感染者は日本国内で1000万人と言われています。予防接種により、発症が抑えられている人も含まれています。新型ウイルスでは、全世界で10万人程です。インフルエンザの死亡者数は、日本国内で1500人程です。インフルエンザを起因とした肺炎や合併症での死亡者数(超過死亡概念)も入れると1万人となります。新型ウイルスでは、全世界で3500人程です。

 もちろん、致死率が高いのは間違いありませんが、ワクチンが開発されていない中で、日本国内で1.5%ほどに抑えられています。そのほとんどが高齢者の方であり、合併症を含めた間接的な死因も考えられます。

 

 さて、インフルエンザとの違いは何なのでしょうか?学級閉鎖はなりますが、イベント中止にはなりません。マスク・手洗いはしても、外出自粛にはなりません。白い目では見られても、偏見や差別はありません。人間の心理として「新しいモノ」「未知のモノ」には少なからず拒絶反応を示します。特に、島国の日本にとって、その傾向は高いと思います。また、ワクチンが無いことも大きな違いです。最悪、かかっても大丈夫!という安心感があれば、行動も変わります。

 

 経営に置き換えると面白いですね。

  • 普段から新しい事にチャレンジしている体質
  • 不測のトラブルに備える体質

こうした企業は、外部環境が変わっても生き残っていくのだと思います。近年はBCPの必要性が叫ばれており、地震や水災を想定した計画が作られていますが、「ウイルス」に対する想定も必要になりそうですね。

 

最後に疑問が一つ

 休校、イベント自粛は4月になれば終わり、みたいな雰囲気になっていますが、何の根拠に基づいているんでしょうか?温暖な地域でも感染が広がっている事を鑑みると、温かくなったからと言って終息するというのはあまりにも安直すぎます。ワクチンの目処が立っているのでしょうか。