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改めて認識

改善の方向性

 11月15日に私が所属する福井県中小企業診断士協会で、地方創生シンポジウムが開催されました。新幹線の福井延伸を控えて、観光の産業化に向けた取り組みをテーマに講演とパネルディスカッションを実施しました。

 

 基調講演に『藻谷浩介』氏をお迎えしたのですが、いろんな意味でインパクトがありました。藻谷浩介氏は、独特な雰囲気がある方で、公演中もピリッとした空気です。うたた寝なんて許されない空気です。まぁ本来、人の話を聞くのに寝るなんてありえない話なんですがね。様々な支払いや手続きを任されていた私もちょっと気を張る事が多かったです。

 

 講演の中で、観光に関する統計データが色々と提示されました。何となく分かっていたデータもあれば、ハッと驚くデータもありました。役割の関係で、全て講演を聞けたわけでは無いのですが、結論的な言葉に「客単価を上げろ」というキーワードが出されていました。私としては「やっぱりそうだよね」と。

 

 私は最近「数字経営」という考えを中心に経営支援をしています。●●を□%アップ、▲▲を□%ダウンなど、具体的な項目をピックアップする事で、経営者と従業員のベクトルを合わせる手法です。

(※●●や▲▲は、売上高とか営業利益とか損益計算書上のワードは使いません)

 

 この数字経営を突き詰めていくと、高い確率で「客単価を□%アップ」という改善策が出てきます。新分野、新商品でない限り、この人口減少の社会において「客数」「販売数」を増やすなんて改善策には相当な労力がいります。そこに労力をかけるくらいなら、最低賃金アップ、消費増税の波に乗って単価を上げる方が容易です。

 

 売上高 = 販売単価 × 販売数量

 

 

 この数式である以上、販売単価を5%上げるのと販売数量を5%上げるのは、まったく同じ効果です。であれば、より労力が掛からない方を選択すべきです。

 

改めて認識

 もちろん「販売数アップは無理」だと決め打ちする事はNGです。外部環境、内部環境、それぞれに様々な問題点はあるでしょうが、その中でどうやったら販売数が増やせるのか?何が障壁なのか? なぜなぜ分析を突き詰めて検討する事は必要不可欠です。時には、奥の手、常識はずれ、改革レベルの改善が必要になるかもしれません。でも、それで改善できるならあきらめるべきではないと私は思います。むしろ、そこに他社がマネできないビジネスチャンスが隠れている可能性が高いからです。

 

 ただ、今まで経営を数字で捉えて来なかった“数字経営初心者”の会社の場合は、もっとシンプルに改善できる策を検討すべきだと思いますし、その方が早期に効果が出ます。そして、その改善策の一つには、ほとんど場合、客単価アップが入ってきます。

 実際に何社もこの数字経営のスキームを使って経営支援してきましたが、結局、客単価アップに行きついてしまうので「このスキームの限界か?」と感じる事もありました。でも今回の講演を聞いて、今の日本経済においては必然だったのだと改めて認識しました。