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人材の新しい形

人手が足りない

 日本どこへ行っても“人手不足”が叫ばれています。では、人手が足りていない企業が儲かっているのか?と言うと必ずしもそういう訳ではありません。人手が増えて、収益が増える企業はごく一部でないかと思います。実態としては、小ロット対応であったり、トレサビリティ対応、過剰な顧客要求、法令順守、働き方改革などによって、正味の作業につかえる時間(お金を生んでいる時間)が短くなっているのだと思います。

 そんな中でいくら人手を増やしたところで、売上は伸びたとしても、利益は増えないのではないか…と感じています。とはいえ、それでも目先の仕事をこなさないと、将来の仕事が無くなるという側面もあるので、目先の利益ばかりを気にしていられないというのが本音なのでしょうが。

人員ではなく人材

 冒頭ではあえて“人手”という言葉を使いました。これは個人的な解釈ですが、人手=人員だと考えています。「猫の手でも借りたい」と言われますが、動く手があればそれで良ういという意味では”人手=人員”になります。

 それに対して“人材”は、人の材、言い換えれば「人的な財産」です。最近では、人財という造語も生まれています。単に動く手ではなく、頭脳を持った手です。時には、人を動かし、組織を変え、新しい価値を生み出す人です。

人材の獲得

 有能な人材を獲得するのは至難の業です。大手企業がこぞって獲得しようと、あの手この手を使って囲い込んでしまいます。

 

 話は変わりますが、現在ブイコンサルティングでは小規模製造業向けのIoTシステムを開発中です。現場改善のプロだからこそできるシンプルかつ的確なデータ収集ができるシステムです。

ただ、私はシステム開発なんで出来ません。プログラミングのプの字も知らない素人です。そこで、以下を検討しました。

①システム会社に委託

 ⇒200~300万円。完全に予算オーバーです。

 

②小規模・個人事業主のプログラマ

 ⇒100~200万円。出せなくもないですが、予算オーバー。しかも忙しくて受けてくれる人がいない。

 

③フェイスブックで募集

 ⇒東京にいる友人が手を挙げ、本業の絡みで無償で良いとの事。

  でも結局仕事が忙しくて頓挫。

 

構想から半年ほどたった時に、ネット広告に「クラウドソーシング」というワードが出ていました。簡単に言うと、『インターネットを使用し、世界に仕事を発注する仕組み』です。砕けて言うと『お仕事版の出会い系サイト』です。掲示板に仕事内容を掲載すると、興味がある人が応募してくる仕組みです。いくつか運営会社があるのですが、私は「クラウドワークス」を使用しました。

 ※クラウドワークスの宣伝/アフィリエイトではありません。

  募集だけなら無料なので軽い気持ちで使ってみたのですが、たった3日程で20件程の応募がありました。しかも、30~80万円程の低価格。応募件数もさることながら、専門用語が飛び交うメッセージの解読に苦慮しながらも様々な観点から選定し、埼玉県在住の東京大学院生と契約をして開発を進めています。まさか、顔も名前も知らない埼玉県の学生と一緒に仕事をするなんて夢にも思いませんでした。

 

 この経験から「人材って、雇い入れる事が全てじゃない」と思うようになりました。外部人員をスポット的に使うのも効果的だと感じました。特に、有能な人材を獲得する事が難しい小規模企業においては、このような人材の受け入れ方もありではないでしょうか。

 今回の例では、東京大学院生を雇い入れようとしたら、どれだけの待遇を用意すれば良いのか…

人材の新しい形

 私の例は特殊かもしれませんが、何か新しい事をする際、社内に足りない能力があった場合は、他社に外注するのではなく、人材を使うのも良い選択肢だと思います。また、目先の売上を稼ぐ人員の獲得だけでなく、将来の成長を作る人材の獲得にも積極的になって欲しいと思います。

 

 人材は社内に雇い入れるだけでなく、日本各地に存在する有能な人材を使う事も可能な時代です。