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キッカケ

人生はキッカケの連続

 人生はキッカケの連続です。私達が生まれるには両親が出会う必要があり、それにも何かしらのキッカケがあったはずです。生まれてからも、人格を形成したり、進む道が決まっていくのもキッカケがあったはずです。

 

 私がコンサルタントになったキッカケを少しお話します。

 私は高校まで地元の学校に通っていましたが、何かしたい事がある訳でもなく、都合の良い理由を付けて名古屋にある大学の経営学部に進学しました。いざ就職が近づいてくると人生について色々考えだします。

 

「自分て何がしたいのだろうか?」「何が好きなんだろうか?」「何が得意なんだろうか?」

 

 そんな時、ふと「自分はものを作ることが好きだ」と気付きました。我が家はおもちゃを買ってもらうという風習が無く、小さい頃から自分で遊び道具を作っていました。祭りがあればプラモデルを買って作り、大学に入ってからもスノーボードの板に貼るステッカーやワックス台を自作していました。ただ、経営学部という事もあり、直接的にものを作る仕事に携わるのは難しいと考え、せめて製造業の会社に入ろうと思い、福井鋲螺という会社に営業マンとして入社しました。大阪支店に配属され、大手メーカーや商社を相手に営業をしたり、時には工場に行って高速で動く圧造機に感動したり、油にまみれた製品をルーペで眺めたり、製造業ならではの仕事をしていました。

 そして大阪に行き6年程過ぎた頃から仕事に対してマンネリ感を感じ始め、「このまま定年まで営業マンで良いのだろうか?」という気持ちになりました。ある日の帰り道、電車に吊られたユーキャンの中吊り広告をみて、何気なしにスマホで検索すると、ペン習字やFP、○○コーディネーターなどと並んで、「中小企業診断士」という資格が紹介されていました。これが私が経営コンサルタントという仕事に知ったキッカケです。

 始めは自己啓発レベルで勉強し始めましたが、案外、大人になってからの勉強が楽しくなってしまい、いつしか本気で合格を目指していました。また、妻の実家の養子に入るキッカケもあり、福井鋲螺をやめて本格的に資格の勉強をし始め、3年目にして合格。翌年には経営コンサルタントとして独立開業してしまいました。

 

 経営学部を選んでいなかったら

 福井鋲螺に入っていなかったら

 大阪支店に配属されていなかったら

 あの電車に乗っていなかったら

 ユーキャンを検索していなかったら

 妻の実家の養子に入らなかったら

 

本当にキッカケの連続です。

 

経営もキッカケを大事に

 経営もキッカケの連続だと思います。キッカケから新たなステージに進んだ、ある支援先を紹介します。

 とっかかりは商工会の事業で関わった会社で、親子夫婦4名と従業員6名の塗装業です。赤字が拡大しつつあり、債務超過に片足を突っ込んでしまった状態でした。営業面、生産面、組織面、管理面、モチベーション、経営知識、ありとあらゆるところに問題があり、切り口が難しいのが本音でした。

 代表、後継者、従業員全員と面談をした結果、問題が明らかになり、それを代表にぶつけると「息子に代替わりする」というキッカケを作って頂きました。そこで、息子さんとの打ち合わせをメインに進め、経営知識の習得を促しました。息子さんは、若く、リーダーシップがあり、職人としてもピカイチで、お客さんにも気に入られていましたが、決算書を見た事すらありませんし、自分の会社以外を知りません。せっかく能力があっても、その正しい使い方を知らないという状況でした。

 生産現場のあるべき姿、従業員との関係性、労働法規、経営数字の見方をレクチャーしました。完成度の高低はあるものの基本的には全て実行して頂いた結果として、前期は黒字化しました。しかも、支援側が直接手を下したことは無く、あくまでも考え方や理想像を伝えただけです。

 本人さんも「なぜか分からないけど決算がよかった」と言っていました。悪くとらえればコントロールできていない黒字ですが、前向きに捉えれば、正しい経営知識を身に付けたことで自然と良い方向に循環していると言えます。

 今期は数字をコントロールできるように、一緒に財務分析をしながら具体的な対策を検討していく方針です。

 

キッカケをプラスに

 人手不足、消費増税、隣国との国交悪化、少子高齢化など、マイナスの側面が大きな問題もありますが、全てをプラスのキッカケに捉えて欲しいと思います。